気付いたらいつも一緒にいた。
勇紀は俺の中で、かけがえのない存在になっていた。
そんな勇紀がある日、窓の外を愛しそうに眺めてた。
誰だってわかる。
“好きな子”を見ているんだと。
俺はそっと近付き、白々しく
『なーに見てんだよ?』
と言った。
『うわ!!』
勇紀は好きな子に相当夢中になっていたのか、すごく驚いた。
『好きな奴だろ?どの子だよ』
勇紀は渋りながらも、『…あいつ』と指さした。
『へ〜』
『誰にも言うなよ!!』
『わかってるって。告んないのか?』
『…無理なんだよ』
珍しく弱気な勇紀の表情は、とても印象的だったんだ――…。