「さっき凌兄って呼んだろ?」


へ?そうだったけ?


部屋に入った早々、睨まれた。




あたしは頑張って記憶を思い起こすが、思い出せない。




「…もう兄じゃねぇよ」


ぶすっとした顔の凌兄。

ちょっと、可愛い。




「…うん、分かってるよ」



でも小さい頃から“凌兄”だったから、そう簡単には抜けない。


しかも…凌って、なんだか照れるし、恥ずかしいし、慣れない。




そう思っていたら……キスされた。



「呼んだごとにすっからな?」



甘い声で囁かれる。

あたしはこの声に弱い。




それを凌兄は知っている。




……ずるい…。



しかもそれ、罰じゃないし。