「‥‥さよなら。」
彼のげた箱に、三年分の想いを忍ばせた。名前も書かずに封をした、最初で最後のラブレター。
キレイゴトだと言われてもかまわない。私からも、お願いします…
彼の恋が実りますように。彼の笑顔が咲きますように。
私はそう祈りを捧げて美優に電話した。
「あ、美優?どこにいるの?」
「今、校門で写真撮ってた!…もう、いいの?」
「ん、終わったよ。じゃあ、今から行くね!!」
携帯をポケットにしまって、校門へ向かった。昇降口を出てから一度、校舎を振り返る。
ここで、彼に出会って恋をして…そして、さよならしたの。
「おかえり。」
「ただいま。」
美優のところへ着くと美優は私の肩を叩いた。それだけで、何も言わなかった。
「帰ろうか…。」
私が美優にそう声をかけた時だった、大好きな大好きな声が私を呼んだ。
私が振り返ると美優は小さな声で、でも優しく“先に帰るね。”と言った。
「あ、もう帰るとこだった?」
帰っていく美優を見て美人君は申し訳なさそうな笑顔を見せた。
「うん。…どうしたの?」
「あ…。うん。」
すごく切ない顔。