友達は言う。

“もう諦めちゃえば?”


うん。何度もそう出来たらって思ったよ。だけど、出来なかった。

それでも、彼が好きで…好きでしかたないの。






「おっす!ラブっ!!」


椎名 愛結《シイナアユ》という私の名前を“ラブ”って呼び始めたのは彼だった。今ではそれが定着して、友達はみんな私のことをそう呼ぶ。


「あ、おはよ。美人君。」


辰巳 美人《タツミミト》
私の想い人。


出会ったばかりの頃、愛を結ぶって書いて“あゆ”と読む私の名前を、縁起がいい名前だなって彼は笑った。

そんな彼に、美しい人って書いて“みと”と読む彼の名前を、綺麗な名前だって言うと、恥ずかしいんだけどって笑って、ありがとうってまた笑った。

その、顔をくしゃっとさせて笑う笑顔がとても可愛くて…

一目惚れだったのかもしれない。