夜の7時を回り、客が増えた。泰紀はこの時間が嫌いだった。女性客も多くなるからだ。

 「すいません。」

 泰紀は不意に声をかけられた。女性の声。背中に悪寒が走った。

 「はい。なんでしょうか。」

 女性の顔をみないようにうつむきながら返事をした。声が震えてる。