涙がこぼれ落ちる。

これが失恋ってやつなんだろうか。

恥ずかしくて、悔しくて、悲しくて。

言わなきゃよかったと今さら思う。

だけど、どーしようもなくて。

あたしは泣きながらデザートを頬張る。

「ふっ。」

そんなあたしを見て、忍成が噴き出した。

「今、笑いましたねっ!?」

「いや、笑ってなんかないよ(笑)」

「笑ってるしっ!いーですよ、どーせふられても食意地はってますよ。だってコレ逃したら、一生こんなデザート食べられないかもしれないもんっ!」

重い空気をふっきるように、恥ずかしくてわざとそんなことを言った。

忍成も、まるで何もなかったかのように、あたしに合わせてくれる。


…でも分かってる。

この関係は、今日で終わり。


このディナーが、ふりだけだとしても、忍成との最後のデート。

最後は笑顔で終わりたい。