「…いいんだよ。彼女は前にも一度来てるから。」

「え?」

忍成の言葉に、今度はあたしが聞き返す。

「実はココさ、3年前に彼女にプロポーズした場所なんだよね。今日は彼女の誕生日でさ。OKの返事もらった後、速攻で予約いれたんだ。また二人で来ようって。その一年後の今日に入籍して。あの時は、別れるなんて夢にも思ってなかった…。」

忍成が、少し懐かしそうに目を細めた。

「だったらなおさら、今日は奥さんを誘うべきだったんじゃ…」

あたしの言葉に、忍成が力なく笑う。

「彼女は今日は来れないよ。誕生日なんだ、新しい旦那と子供と、今頃はケーキでも食べてるんじゃないかな。」