「ありがとうございます。」

彼が去った後、数秒の間の後にあたしは言った。

「どういたしまして☆可愛い女の子を助けるのは男の使命だからね。」

あの男に可愛いって言われた時はキモかったのに、何故この人に言われるとこんなに照れるんだろう。

「っていうか、何でここにいるんですか?帰ったんじゃ…。」

あたしは照れを隠す為、話題を変えた。

「あー、気が変わってね。たまには人が混み合ってる場所も悪くないかなって思って。」

忍成がぺろっと舌を出す。

「それに、キミさえ良ければ、僕達が一緒にいることで、マスコミもキミを僕の彼女だって騒ぐだろ?そしたら世間からあのウワサは消えるからね☆」

そう付け加えた忍成の言葉を聞いて、一瞬あたしの為に来てくれたんじゃないかってバカな考えがよぎった自分が、恥ずかしくてたまらなかった。