「…忍成、どうして?」

いるはずのない人の姿を見つけると、人間ってのは、一瞬思考回路が働かないらしい。

ただただ忍成を見つめるコトしか出来ないあたし。

「てめー誰の女に手ぇ出してると思ってんだよ!?」

忍成のキレイな顔が彼を睨む。

その迫力はハンパなくて、いつもの忍成からは想像もつかない。

キレたら、ヤバいな、この人。

「忍成さんっ!!す、すいませんっ!どうりで超美人なワケですよね、忍成さんの彼女ッスか、さすがっ♪」

彼が焦って、うわべ笑いを浮かべながら言う。

忍成には、モデルも逆らえないのか。

改めて彼の凄さを知ると共に、助けてくれた事を素直に嬉しいと感じるあたしがいた。