「ふぅん………?じゃあこっちの子に聞いてみようかな」


そう呟いて今度は(パニック状態の)馨に話しかける。

危機が去った…と胸をなで下ろす。


「だ……だから……ち…ちが……ッ」


急に聞こえてきた声は馨のものだった。

急いで馨の方を向くと
結城君が馨の両頬をつかんでいた。

「ホント?」

「ホ……ホン………ト……」


泣きそうな馨。
結城君はそんなのも無視で、

「ウソでしょ?だって俺聞いちゃったよ?俺の名前言ってたよね?『結城君』って。俺さ、ウソつくのが一番嫌いなんだよね」


冷ややかな目で馨を見下ろす結城君。