森川は、さっきまでのまったり気分もどこへやら、バチンと婆を平手打ちし、土間にあった縄で老婆を縛り上げた。
所詮はチンピラ。食事のもてなしなど関係ない。
森川は、凄まじい形相で老婆を詰問した。
「昨日の女は、どこの誰だ!あんだけヤッタんだ。しらねぇわけないだろが…!」
老婆は、平手打ちをくらって恐怖のあまり、ガクガクと震え答えられない
「ちっ!」
森川は、婆を蹴飛ばした。
短い悲鳴が聞こえ、婆は動かなくなった。
森川は煙草をふかしながら、家の中を探し回ったが、誰も隠れてはいなかった。
しかし、収穫はあった。老婆の部屋のタンスから若い女好みの着物やら小物が出てきたのだ。
森川は得たりと笑い土間に戻った。陽が傾いてきている。
そういえば夕飯が早かったよな。
土間には縛られたままの老婆が何とか体制を立て直して壁にもたれていた。
うつむいたままの老婆の前に森川は鮮やかな柄の帯を放り投げた。
「婆さん、これは昨日の若い美人がしていたものだ。俺が、この手でほどいたんだから間違いねぇ。さ~、説明してもらおうか!」
老婆は、ほっと溜め息をついて話しはじめた。