気晴らしに、昨夜の睡眠時間を頭の中で計算しているうちに、いとも簡単に電車は私の身体を学校の近くまで運んでくれた。
そして、珍しく雲一つない晴天の中、珍しく遅刻も欠席もしなかった私の入学式は、何の面白みもなく、ただ始まって終わった。

私のクラスの担任であるらしいその男は、芹沢と名乗った。
きっちりと着込まれた皺ひとつないスーツとは裏腹に、表情には覇気がなく、髪には寝癖がついていた。縁の太い眼鏡のせいで老けた印象に見えるが、せいぜい30代後半といったところだろう。
芹沢は何かの案内が書かれた紙を配ると、不自然にしゃがれた声で延々と何かを喋っていた。

内容は全く覚えていない。覚える気もない。

帰りの電車は空いていた。