ーぷちっ…ぷちっ…
静寂な部屋の中、妙な音が響く。
部屋の中には、数十人程人が居るにも関わらず、誰一人として口を開かず、ただ俯いていた。
部屋の奥にある大きなパネルには、幾つもの数字が並んでいる。
それの前に、露出の高い黒い服と、同じく黒のロングブーツに身を包み、ピンクがかった金髪の上にウサギの耳を模したカチューシャをのせた、所謂バニーガールが、にっこりと微笑みながらマイクを握っていた。
「次はぁ〜、え〜っとぉ〜…59番!」
バニーの女性が、あまりに場違いなとても明るい声でそう言うと、部屋の中の人々はまた、ぷちぷちと音を立て始める。
その中で、一人の男が青ざめた表情で、ゆるゆると右手を挙げた。
「リ……リーチ、です……」
その男の顔を見たバニーの瞳が輝いた。
「あっ!ホントですかぁ!? じゃあ、続けていってみましょ〜!」
バニーは、人差し指を唇に当て、先程より少し高いトーンで言うと、背後のモニターに目をやる。
「次はぁ、30番!」
彼女の声に、先程手を挙げていた男性が、ひっ、と小さな悲鳴をあげた。
バニーは、彼の手元にある一枚のカードを覗き込むと、また一段と声の調子を高くして言い、ビンゴカードを掲げる。
「おめでとうございます! 青海高校様、見事ビンゴです!」