そうしているうちにふと気がつくと、女の子は不思議そうな顔をしてこっちを見ていて。
その澄んだ瞳と目があってしまった。


…うわっ!

どうしようと一瞬思ったけど、すぐに、

…よし!

と心の中で気合を入れて、立ち上がり、彼女に

「すみません。絵のモデルになってくれませんか?」

と声をかけた。


「え?!」

彼女は驚いていた。
それはそうだろう。
だって、そう言った俺も自分自身で驚いていたんだから。


でも、もっと驚いたのは、

「お願いします」

と頭を下げると、

「はい」

という、彼女の返事がすぐに返ってきたことだった。

(このことを、モデルになってもらってから聞いてみたら、あまりに突然で、思わずそう言ってしまったのだそうだ)