あまりのことに、一瞬どうしようかと戸惑ってしまい、連れて行かれる茂美を呆然と見送ってしまった。

慌てて、

「待ってください!茂美!」

叫びながら、追いかけると横断歩道を渡る茂美たちが見えた。

「茂美!」

もう一度、叫ぶと茂美が

「いやよ。離して!」

と激しく抵抗し、何とかお父さんの手を振りほどき、

「豪紀~!!」

と叫びながら、俺のほうへ向かおうとしたその時だった。

信号を無視した車が茂美に向かって突っ込んできて、茂美はあっという間にふっとばされてしまった。

「うそだろ。茂美!!」

すぐに駆け寄って抱きかかえたが、茂美の意識はなく血だらけでぐったりとしていた。

「茂美、茂美。誰か救急車を呼んでくれ!茂美、しっかりしろ!」

何度、呼びかけても茂美はぐったりしままで、やがて

ピーポー、ピーポー

と救急車の音が聞こえてきた。

その後は、パニックで何が何だかわからないうちに病院に着いていた。