その日の早朝アキは、警察からの電話で目を覚ました。


「旦那さんがお亡くなりになりました」


え??


――またあの感じ。


体から血の気が引いていく。


寒い。


淡々と話を続ける警察官の平然とした声が、アキの耳に入りすぐに抜けていく。


ふと目をおとしたテーブルの上には、真っ白な紙が1枚置かれていた。


今まで宙を舞っていたアキの意識が、急に体に戻る。


『…嘘だ…』


『嘘だよ…健吾が死ぬわけないよっ!!』


テーブルに置かれた真っ白な紙。


「アキごめんね」


健吾の字でそう書かれていた。


『やだ…やだ……やだ』


『健吾ーッ!!嫌ァーッ!!』


――とめどなく流れる涙。


やむことを知らない涙。


『…ごめんね』


『健吾ごめんね』


アキの手には真っ白な手紙が、握りしめられていた。