「…大丈夫です。」


私は立ち上がった。


「かつあげ?」


「…」


「すぐそこ交番だからおいで。」


「…いえ、このまま家に帰るので大丈夫です。」


私は彼に背を向け歩きだした。


ーガシッ!ー


ー!?ー


彼の手が私の腕をしっかり捕まえていた。


「…来なさい。」


私はイヤとは言えなかった。


彼の私を見る真っ直ぐな瞳に何も言えなくなったのだ。