「………………」



私は黙ったまま、自転車を見つめて険しい顔をした。



「あ?早く乗れよ」

「このまま送られたら、また礼くれとか言うんでしょ」

「いっ、言わねーよバカっ!」



一琉に怒られて、半ば強制的に自転車に乗る。


ゆっくりゆっくり、景色が流れていく

心地いい…



「一琉……」



自然と、名前を呼んでいた。



「あ?」



好きだよ。



「なんでもないっ」



ぎゆっと一琉の背中にしがみついた。

今はまだ、もう少しこうしていたい。


気づいたばかりの私の恋心

いつか言える日が来るかな


「変な女」



そうボソッと呟いて、一琉はいつもよりゆっくり自転車をこいだ