「そん時の礼、まだもらってねぇ」

「はぁ?そんな前のことまでー?ちっさい男ー…」



言っている途中で、唇をふさがれる。

状況が把握できなくて
目を綴じることができなかった。


わかるのは、一琉の顔がすぐ目の前にあること。



「…ちっさい男で、悪かったな」



私から離れると、一琉は小さく呟いて立ち上がる。

私は相変わらず地面にしゃがみこんだままで…



「…勝手に、もらわないでよ」



きっと今、すごく顔赤い。

こんなに、終わってからもドキドキするキスは初めてだった。



「ほら、乗れよ、送る。」



そう言って一琉は、倒れていた自転車を立てた。