―カシャン



「一瞬だから見てろよ、俺の必殺技をてめぇにくらわしてやる」



今までに見たこともないような、真剣な目つき

風がピタッと止まった気がした。



「……………」

「……………」



お互い、睨み合ったまま

先に口を開いたのは、一琉だった。



「三芳流、奥義!!
"逃げるが勝ち"」



そう叫んだかと思うと、一琉は回れ右をして思いきり自転車をこいだ。

物凄いスピードで自転車は風をきり、進んで行く。

途中、チラッと後ろを振り返ると、足達くんはポカンと口を開けてつっ立っていた。



「………ダサい、一琉」



後ろ姿にぽつりと呟く。



「あ?しょーがねぇだろ、だって黒帯だぞ!?」

「あんた強いんじゃないの!?」



だってクミタン曰く、"百獣の王"だって…