もう誰かを傷つけるのも

自分が傷つくのも嫌



「言えよ」

「いや」

「言えって」

「いーや!」

「……………」



私はふいっと目をそらして回れ右をすると、家に帰るために歩き出した。



―グイッ



後ろから腕を引っ張られて、抵抗できずに振り返る。



「言えよ」



さっきから、そればっかり



「もう、しつこい「言うまで離さねーから」

「なっ!!?」



相変わらずの無表情で、ツッチーは私の腕を掴んだまま、目をそらさずに黙ってじっと私を見る。

それから一言、付け加えた。



「それに、隠されたら余計知りたくなるのが人間の心理だ。」

「…っ、ツッチーには関係ないじゃん!!」

「ここまで関わっといて、関係ないはねーんじゃねぇの」



やっぱり、どうあがいてもツッチーに言葉ではかなわない

結局は言いくるめられてしまう



「わかっ…た、話すから、離して」



私が観念すると、意外とアッサリと手を離してくれた。