縄が手首に食い込む。
「でもっ!私は違う!!」
ギュスターヴはつぃと目をそらし、
「この状況で、お前を捕らえない理由がみつからん。」
私は部屋を見渡し、王子を守る人々が私をキツく睨む目が怖くて下を向いた。
牢屋に投げ込まれて、しんしんと体温が下がる感じがする。
ギュスターヴ達の足音が小さく消えていく。
格子の隙間から見える月は、狩り場よりも高度を上げて光っている。
湿った岩肌の壁に寄りかかり、見えると言ったら鉄格子と重い木製のドア。
この状況で、私の目を向けるべき物は月しか無かった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…