「フェザールスタの銀髪の騎士と言って、ガイドブックには良く載っているが…」
私は何となく見たかもと思いつつ、
座席の前ポケットからガイドブックを取り出した。
パラパラとめくり、お目当てのページを見つけた。
ページ半分を使って肖像画の写真が載っている。
腰まである美しい銀髪を窓からの斜光で輝かす。
細やかな植物彫りで飾った甲冑を着たフェザールスタの最後の王位継承者。
歴史から名も消された悲劇の王子。とガイドブックには書かれていた。
種馬級の女好き、そんな文字はない…。
まぁ国民から種馬と呼ばれ、ガイドブックまでそんな事を書いていたら、観光客は来ないよね。
あぁオジサマの話は聞かない方が、夢が持てたかも。
肖像画の彼は寂しそうに窓の外を見ていた。
その思い込んだ暗い瞳と窓辺に置かれた力なき手。
豪華には違いないが、窓から明かりだけの暗い部屋に、立つ銀髪の騎士。
その鼻筋の通った美しい横顔を見ていると、
「この絵はね、正面を向く事を許されなかったと、言われているんだ…娶った女は最初から命を奪うつもりでいたんだろう。王族や国の歴史書から夫の名前さえ消したんだから、女は怖い。…おっと失礼。」
女は怖い、の余計な一言を誤りつつ苦笑いのオジサマ。
一言多いが腹も立たずハンサムは得だなぁ、なんて思ったりしていたら、
段々、機内が騒がしくなってきた。
閉められていた窓も開けられ、朝日が入ってくる。
身なりを整った乗客達が、頭上の棚から手荷物を下ろし始めた。
「……、どれ私達も荷物を降ろそうか。」
私は何となく見たかもと思いつつ、
座席の前ポケットからガイドブックを取り出した。
パラパラとめくり、お目当てのページを見つけた。
ページ半分を使って肖像画の写真が載っている。
腰まである美しい銀髪を窓からの斜光で輝かす。
細やかな植物彫りで飾った甲冑を着たフェザールスタの最後の王位継承者。
歴史から名も消された悲劇の王子。とガイドブックには書かれていた。
種馬級の女好き、そんな文字はない…。
まぁ国民から種馬と呼ばれ、ガイドブックまでそんな事を書いていたら、観光客は来ないよね。
あぁオジサマの話は聞かない方が、夢が持てたかも。
肖像画の彼は寂しそうに窓の外を見ていた。
その思い込んだ暗い瞳と窓辺に置かれた力なき手。
豪華には違いないが、窓から明かりだけの暗い部屋に、立つ銀髪の騎士。
その鼻筋の通った美しい横顔を見ていると、
「この絵はね、正面を向く事を許されなかったと、言われているんだ…娶った女は最初から命を奪うつもりでいたんだろう。王族や国の歴史書から夫の名前さえ消したんだから、女は怖い。…おっと失礼。」
女は怖い、の余計な一言を誤りつつ苦笑いのオジサマ。
一言多いが腹も立たずハンサムは得だなぁ、なんて思ったりしていたら、
段々、機内が騒がしくなってきた。
閉められていた窓も開けられ、朝日が入ってくる。
身なりを整った乗客達が、頭上の棚から手荷物を下ろし始めた。
「……、どれ私達も荷物を降ろそうか。」