「あの、本当に、肖像画本人なの?」
信じられない、言葉が上手く出てこない。
「何を言っている?……まだ私は肖像を描かせた事はないが、何を見たんだ?」
いぶかしげに私に尋ねて、視線をそらし何か考え込んだ。
「どうして…顔を…知って…いるんだ……?」
小さく呟いた声。
外した視線を私に戻し、
「私が王子だと解ったのなら、名を示せ。」
両手で胸を隠す様に立ちすくんだ。
どうして良いか解らない。
パニックになりそうなのを押さえ込む。
急に、ハイトさんの顔が頭に浮かんだ。
毎日数時間をワルツの練習に当て、現代風のワルツとクラシックワルツの両方を習った。
1.2.3.1.2.3.…踊りすぎて、靴擦れで他の観光がキツかった。