係の女性は、質問がないからよどみなく話を続けている。

「…大公暦1768年のルクシールの反乱の際、反乱軍が地方の領主領を占拠し、王都まで押し掛けようとしていた時に皇太子妃ファンヌ様から反乱軍鎮圧要請の密簡が届き
当時は協定国だったエルディンガー大公国の公軍が王宮に入り、徐々に反乱軍を鎮圧していきました。」
黄色く変色したレースが美しいドレスを見て、係に顔をあげ、話を聞いていますよ、言う意味でうなずいた。

「その後、反乱軍と皇太子との繋がりが解り、エルディンガー大公を後ろ盾に皇太子妃ファンヌ様がそのまま統治を続け女王におなりました。

残念ながら女王戴冠式後すぐに、皇太子は斬首の刑となった様ですが、実際には何処で処刑されたかは解ってはおりません。

この反乱に多くの謎がありますが、王子の名前とともに歴史から消えてしまいました。