青いセーターの背中を見ながら係の後ろを付いていく。
ハイトさんはは玄関で待っています。と言うとマスクを受け取ようだったので、私だけ今は説明を聞きについてきた。
木の廊下をすぎ、大広間に案内された。

私達以外に客はいない様で、シーンとした大広間には、同時の建築様式や生活、風土が紹介されていた。
数多くの王の名前と肖像、逸話とともに。

係のはよどみなく説明を進める。
私は、耳を傾け、当時を想像してみる。
「……正面壁に掛かる肖像画はフェザールスタ王朝最後の皇太子、唯一の肖像画と言われおります。
こちらの皇太子にはエルディンガー大公の従姉妹に当たるトルドル家のご息女ファンヌ様が輿入れされていておりました。

少しホコリっぽい空気、豪華な王様の古いマント、傷を残して磨きあげられている銀食器は数百年前の止まった時間を、私に露呈しているみたいだった。

見てはいけない躯の傷を見た様な、美しい女性の頬に見える小さなしわの様を偶然見つけてしまい目を反らす。

そんな、いたたまれない感じがした。