ハイトさんは何か、壁に張ってある小さなカードを見ている。

「そういえば、週末は舞踏会でした。ドリューさんは来週までいらっしゃいますね?」

カードから目を話して、私に聞いてくる。


「はい、来週帰る予定ですが……」

「年に一度、王立資料館主催で仮面舞踏会を開くのですが、いかがですか?良い思い出になるかもしれません。」


私は壁に貼られている、金で縁取りされた上品なデザインのカードを見た。
確かに「レガルア・マスカレード」と書かれている。


「私なんかが参加してもいいのでしょうか?大体、踊れませんし、ドレスもありません…」

「これから、ダンスは覚えればいいではありませんか。ドレスも良いお店を知っています。」


えー、ムリムリムリムリ。舞踏会なんて想像もつかいないもの!!


「気持ちは嬉しいですが、またにしたいと思います。」

私は、ハイトさんに向かって肩をすくめた。
正直な気持ちは、ワルツか何かを踊る気分でもないし明るい気分でもないの。
心の痛みを感じる始めると、なんだか自分を見失ってしまいそう。

今は、出来るだけそっーと時間が過ぎて欲しい。

心が機能低下しているのか、見えるもの聞こえてくる音、すべてに現実味がない。

今頃、ユウは、私が居なくなってほっとしてる。

私は、嫌な気持ちを沈めようとぎゅと手を強く握った。