お礼を言うと手を差し伸べてくれ、私は深く沈んだシートの上でお尻をずらしつつ車から降りようと石畳の道路に足を置いた。
「それでは、こちらでお待ちしております。」
ハイトさんは、軽く会釈して車に戻ろうとするので、私は引き止めた。
「一緒に中まで来てはもらえませんか??」
ならばと、ハイトさんと並んで王室資料館の玄関へ。
「こんにちはぁ」
私はそっーと声をかけてみる。
カン、カーンとドアベルが軽くなると、パタパタと奥から音がして誰か出てくる様だった。
ハーブの織物の絨毯に誰かの肖像画が掛かっている廊下の奥に、広い部屋があるみたい。