「執事さん、お名前は?」

茄子色の瞳とバックミラー越しに視線があった。何か言いたげな感じ。
執事はすぐに、視線を進行方向に戻した。

「…ハイトと申します。」

「ハイトさん…ね。今日は宜しくお願いします。」

ペコッと頭を下げた。
すると信号で止まるとわざわざ振り向いて、


「こちらこそ。」


とスッと頭を下げてくれた。
ハイトさんは何歳くらい?私よりは年上かなぁ。
うーん、年齢不詳ね。真顔で18歳と言われたら納得しそうだもの。

赤、黄色、群青と色とりどりの背の高いアパルトマンの前を通り、円形のフェィク広場をやり過ごした。

「この道を右に曲がると、……到着です。」

王室資料館“ロイヤル・レガリア”は2階建ての白亜の洋館で、ひっそりと大きな木の下にたたずむ様に建っていた。
木々の木漏れ日を浴びながら。

玄関前に車を止めた、ハイトさんは慣れた様に降りてきて、ガチャと重いプリンスセスのドアを開けてくれた。

「…ありがとう。」