「…ふぅ。」と言いながら持っている下敷であおぎ始めた。彼は、私の塾の数少ないクラスメート。私同様彼も制服だが、学校が違うためにデザインも全く違う。
エレベーターが来たので2人で乗る。塾は5階でエレベーターもとても早く上がっていったので会話の1つもなかった。
彼と今日初めて会話したのは、私が入口のドアを開けて彼を待っていたときの「お、ありがとう。」「いえ…。」だけだった。なんとも情けないと思えなくもない。
そして授業が始まると、私はそんなこと考えもしなかった。正直、勉強してたりすると他人がどうでもよくなってしまう。それにきっと、彼も私を4人のクラスメートの中の唯一の女子としか見ていないだろうから。
今日は数学だけだったので、授業が終わったあとは先生と塾に来ていた中学生の子1人を入れた6人で喋った。もちろん私はその会話にもあまり入らない、でも聴いてるだけが楽しかった。
30分程話した後、お開きのじかんがきた。
「横井、お前今日のペナルティに次の授業前に俺含めた4人にジュース買って来い。」「絶対やだ!!!わりぃけどそれなら堀センに頼んで。」「なんで俺だよ横井!!!」
なんて会話が起こったのを私と彼、田丸君はちょっと笑いつつ聞いていた。

その後、堀君、田丸君、そして私が同時に塾を出たが、なぜか堀君は階段を使って降りていってしまった。田丸君は既にエレベーターに乗って私を待ってくれていたので、待たせないようにそそくさと乗った。