コンコン 誰か、来る。 急いで涙を拭(ヌグ)った。 「姫乃、大丈夫?」 それは杏里と琉也君だった。 「まだ少し痛むけど…大丈夫。ありがと」 心配してくれたんだ。 二人を見ると心が少し落ち着いた。 「廊下の所で奏斗とすれ違ったけど…」 ズキ… 琉也君の言葉に、今度は胸が痛んだ。