今の、聞かれたよな?
完全に終わりだよな…。
俺って、つくづくバカだよな…。
自分から手を離したんじゃん…。
でも、真愛の顔…。
何で、そんな悲しそうなの?
「…真愛?」
名前を呼ぶと俺の横を素通りして、走り出す。
それを追いかけようとする俺の腕を、木村ががっしり掴み取る。
「ちょっとっ、大樹!?彼女はあたしでしょ!?」
「離せよっ!!彼女じゃないって、お前なんか嫌いだって言ってるだろっ!もう関わらないでくれよ!2度と俺の前に現れるなっ」
俺の前を遮る木村と退かし、駆けて行った真愛を追いかけた。
すぐに視覚に飛び込んで来た真愛の背中。
「待てよっ…」
息が上がり上手く話せない。
小走りする真愛の背中が近い様で遠い。
「…真愛っ!…待てってっ」
振り向こうともしない。
しばれた氷に足を滑らせバランスを崩す真愛を、ようやく捕らえた俺。
「…は…っ…。おっと、危ないっ…、だから待てって言っただろっ…」
掴まれた腕を引き離そうとする真愛は、やっぱり俺を見てくれない。
「離さねーよ…」
じたばたする真愛に、俺の腕の力が加わる。