重たい鞄を肩に掛け教室を出たアタシに




「ユズカ」




落ち着いた声が背後から聞こえ、振り向いた。




「イッチーどうしたの?」


白衣を着て、眼鏡を掛けたこの男はカウンセラーのイチダ先生。生徒からはイッチーってあだ名で親しまれてる人気者。


アタシが通う学校には、相談室がある。人間関係とか、家庭問題とか、時には恋の話なんかを相談する空間。たぶん、イッチーはどの先生よりも生徒の事をわかってる。優しく、どんな話も真剣に聞いてくれるイッチーが皆大好きだ。