「ねぇ しょうちゃん…」


私は抱きしめられながら静かに口を開いた。



「大好きだよ。
本当に大好き。
だから結婚してるって聞いた時は別れようと思った。
しょうちゃんの家庭の幸せを奪う権利は私にないからね…
でもね…
でも…」



涙は流れ続けた。



「しょうちゃんと離れられないよ…
離れたくない。
これ以上関わっちゃいけないって分かってるんだけど、好きっていう気持ちがどうしても先にきちゃうんだ。」



「辛いことが多くなるのは分かってる。
でも、しょうちゃんが傍にいてくれたら乗り越えられるよ。」



彰弥は抱きしめる手を緩めた。



私の目を見つめ話し始めた。



「美沙…俺は美沙に寂しい思いをさせない。
約束するよ。
美沙が少しでも辛くなったなら、何時だろうと会いにいく。
会って抱きしめる。

俺が必ず美沙の事を幸せにするから。
これからは隠し事しない。
だから俺の言葉を信じて…
俺が必ず幸せにするから…」



彰弥はそう言って私の頭をなでた。