その日の夜。



彼は本当に現れた。



彼の車に乗り、
初めて一緒に行った海に着いた。



彼は静かに口を開いた。



「結婚してる…」



彼の言葉がやまびこのように頭の中で流れる。



私の目から涙がこぼれた。


結婚して10年以上経つこと。



子供が2人いること。



本当は33歳ではなく、39歳だってこと。



彼は淡々と冷静に話を続けた。



予想してた通りだったけど、



受け入れることは出来なかった。



涙はとまることなく溢れ続けた。



奥さんとの関係が5年くらいうまくいってない。



離婚の話も何度もしている。



でも、まだ子供が幼い。



うまくいっていないという言葉は信じる事が出来た。


じゃないと私とこんなに頻繁に会うことは出来ないはず。



その時、一週間に2回は会っていた。



たまにお泊まりもあった。


毎日寝るまでメールをする。



うまくいっているなら、
疑われるはずだ。



私だったら確実に疑い、突き止めようとするだろう。


彼は全て話し終えるとこう言った。