「今日の授業で見たじゃないか。その時も眠ってたのか?」

やれやれという感じに、半分諦めに近く茶髪の少年、ディールは答えた。

「そうじゃなくて本物の」

「そんなの見れるわけないじゃないか。寝すぎて頭おかしくなったんじゃないか?」

真っ赤な髪が歩くたびにふわふわ揺れている。

そして寝癖が付いているのを見つけ金髪の少女、セラはくすりと笑う。

「なんだよ、セラまで笑うのかよ」

「違うわよ。コウの髪…寝癖が付いてて歩くたびに跳ねてるの」

それを聞くや否やコウは慌てて自分の髪を押さえた。

だがとき遅くディールにも見られたらしく後ろから2人の笑い声が聞こえる。

赤い髪で顔を真っ赤にして恥ずかしさのあまり眠気も吹っ飛んだ。

「これに懲りて授業中に居眠りなんかしないことね」

釘を刺すようにセラが言う。

コウの顔はますます赤くなる一方で、後ろの2人の笑いも絶えない。