「彩乃、仕事行かなきゃいけないから今夜、俺の部屋で待ってて。」


そう言って善輝はあの日あたしが返した合鍵を出した。


「これ……なんで…?」


「いつか彩乃に会える日がくるのを信じて、いつも持ち歩いてたんだ。」


善輝のその言葉にまた涙が溢れ出した。


いつ会えるのかも分からなかったあたし達なのに…


善輝のその気持ちが嬉しかった。


鍵を受け取って


「待ってるね。」


そう笑顔で答えたあたしに


「おうっ!」


その一言を残して善輝は仕事に行った。