善輝という大好きな人を失ってもうすぐ１ヶ月。


あたしは毎日もぬけの殻のように過ごしていた。


｢彩乃！しっかりしなさい！｣


お母さんの最近の口癖。


あの日、お母さんが持たせてくれた肉じゃがを開けることなく帰ったあたし。


一瞬、お母さんは驚いた顔をしたけど、何も聞かなかった。たぶん何かを察したんだろう。


｢分かってるよ。じゃ〜行ってきます。｣


お母さんに急かされて家を出る。


大学では奈瑞菜が寂しい思いをしないようにといつも一緒にいてくれた。


奈瑞菜には全てを話した。


最初は『そんなの納得できない！』って怒ってたけど、最後は『彩乃が決めた事だから仕方ないか…よく頑張ったね。』と言ってくれた。