「はい、携帯。」
お姉ちゃんは棚の上に置かれていた携帯を手に取り、何か操作する。
それを私に手渡すと、部屋から出て行った。
昨日、帰ってきてすぐに電源を切り、放置していた携帯。
宙良クンのことを考えたくなくて、ずっと触らずにいた。
お姉ちゃんが電源を入れたせいで、暗かった部屋が薄青く光っている。
画面には、新着メールと数件の不在着信のマーク。
まずは受信ボックスを開き、メールをチェックした。
クラスの友達から数件。
どれも、今日の午前中に送られてきたもので、"お大事に"といった内容が書かれている。
興味のないメルマガをいくつか削除し、残ったメールが7件。
誰からかは、フォルダでわかる。
残りは全部宙良クン。
部活の仲間でもクラスメートでもない宙良クンは、1人だけフォルダを別にしていたから。
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