やっと気付いてくれたようで、説明をしてくれる。
「ここ、親父の店なんだ。
お金は心配しなくてぃぃから。」
和也クンのお父さん?!
通りで、こんな素敵なお店に慣れてたんだ。
"それなら…"と、甘えさせてもらうことにした。
少しだけ落ち着くことができ、店内を見回す余裕が出てきた。
お昼時で人通りは多いのに、お店の中は静かで落ち着いた音楽が流れている。
休日のせいかカップルが多いが、私たちと同年代の人はいなそうだ。
何よりも…
『私、フォークとかの使い方知らないよ?』
テーブルの上には、似たようなスプーンやフォークがたくさん並べられてある。
確か、外から使うんだったっけ?
冷や汗が背中を伝うのを感じながら、和也クンに助けを求めた。
「そんなに難しく考えないで。
俺の見て食べればぃぃから。」
小声で言うと、ちょうど運ばれてきた前菜に目を向けた。
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