たわいもない話をしながら、それでもいつもより弾んだ会話で、映画館へ向かう。
バス停から映画館までは、歩いて約20分。
でも、そんな時間も短いと感じたくらい。
映画館に近付くにつれ、人通りは激しくなってきて、私は気付いてしまったんだ。
それは、すれ違う人たちの視線。
皆、和也クンのこと…
「吉川?」
和也クンは、ほんの少しの私の態度の変化を感じ取ってくれたようだ。
いや、自分が思ってる以上にわかりやすい反応をしていたのかもしれない…
でも、せっかくのこの時間を潰したくないから。
『何でもない!』
無理して笑顔を浮かべれば、嫌なことも感じなくなるはずだよね?
ところが、和也クンはというと機嫌が悪くなるばかり。
目に見えて、顔がひきつっている。
今度は、私の方が和也クンを心配する。
『和也クンどぉかした?』
「ムカつく。
皆見てくる…」
やっぱり、和也クンも気付いてるんだ。
和也クン、かっこぃぃもん。
だから…
*