「何で……名前…」
少し顔を上げて様子を見ると、宙良クンは目を大きく見開いて、私を見ていた。
「名前…そっか。」
私が知っていたことにかなり驚いているようで、宙良クンはそれっきり下を向いてしまった。
クシャッと髪を掴み、頭を抱えている。
私も下を向いて、両手に顔を埋める。
部屋の中は、私の嗚咽と鼻を啜る音しか聞こえなくなった。
どのくらいの間沈黙が流れたのかわからないけれど、
"もぉ、この空間にいたくない"
そぉ思い始めた時だった。
「いつ?
…わかったの?」
消えそうな声。
何で、宙良クンの方が苦しそうなの?
私だって、嘘付かれて…
こんなに辛いのに……。
『一昨日…女の子が、呼んでた……
好きって言われてたよね?
宙良クンも、私なんかよりあの子みたいな綺麗な子の方がぃぃよね?
ゴメン、なんか……
も、忘れて。
保健室にも行ったりしないから。』
言葉が、自分の意思と関係なく飛び出してくる。
こんなこと言いたいんじゃないのに…
*