この部屋は授業の教室から離れているせいか、何も聞こえない。
私たちが話さないと、嫌な沈黙が流れるだけ。
それが耐えられなくて、大きく鼻を啜った。
「で?
何で泣いてるの?」
"泣いてない"
そんな意味を含めて、ブンブンと首を振った。
間違いなく涙は流れてくるのに、それを認めたら泣いている理由も話さなければいけない気がするから。
「一昨日……
来なかったのと何か関係あんの?
メールも電話も返してくれないし、心配したんだよ?」
ドタキャンして無視して…
怒っているはずなのに、何でそんなに優しい声色なの?
私……
期待しちゃうよ?
一時止まっていた涙が、また頬を伝っていく。
下を向いているせいで、きつく握りしめた両手の上に、小さな水たまりが出来ていった。
聞きたいことはいっぱいある。
だけど、許せない事実と胸の痛みが邪魔をして、ただ涙を流すしか出来なかった。
宙良クンの本音を聞くのが怖い。
"お前なんか何とも思っていない"
そぉ言われそうで。
*