「入って。」


促されるまま入ったのは、どこかの教室。


机と椅子が一つ一つ仕切りで区切られている、小さな部屋。

初めて見た。



後ろから入ってきた宙良クンは、ドアを閉めるとガチャンと鍵をかけた。

『…!』


驚いて振り返ると、苦笑いした宙良クンが"ゴメン"と呟いた。


「邪魔、されたくないから。


こっち来て。」



確かに、こんな不細工な泣き顔を見られるのは困る。


だけど、この空間に2人きりでいるのは、耐え難いことだった。




「座って。」


何故か部屋の隅にソファーが置いてある。

3人掛けのと2人掛けの。


教室にこんなのが置いてあるなんて、何か不自然だ。



宙良クンは3人掛けのソファーの端に座ると、その隣を勧めた。


私は出来るだけ離れて座る。

少しだけ悲しそうな表情をしたのを無視して…



*