下駄箱で靴に履き替え校門に向かって早紀は小走りした。

(忙いでレンを迎えに行かなくちゃ!)


早紀の顔からは笑みがこぼれながら…

ひたすら走って…

校門を出ると同時に早紀を呼ぶ声が聞こえた。

「早紀。」

自分を呼ぶ声のする方を足を止めて振り向いた……。

「…!!…翔太……。」

壁に寄りかかって早紀を見ている…翔太がいた…


びっくりしたまま固まってしまった早紀に翔太がだんだん近づいてくる。

動かない足を何とか動かして一歩…二歩…後ずさりする早紀。

「…な、なに…」

ただ動揺しながら早紀は翔太に言う事しかできなかった。

そんな早紀に無言の翔太

早紀は思わず翔太に背を向け走り出そうとする。

そんな早紀の行動を察知した翔太は素早く早紀の腕を掴んだ。


「待てっ!!早紀っ!」

走り出そうとしたのに見事、翔太に腕を掴まれた早紀は逃げる事ができなくなった。

動揺からか早紀の心臓の脈が早い。

「話があるんだ…。」

早紀の返答を待たずに翔太は掴んだ腕を離さず早紀を連れて歩き出した。


ただただ早紀はそんな翔太にされるがまま着いて行くしかなかった…。