「さぁ…そろそろ帰ろっかレンっ」


横にいるレンに振り向いて微笑みながら言った。


その言葉にレンも微笑みながら…


「そうですね。帰りましょうか早紀。」

早紀とレンの間には優しい風がすり抜け2人を包んだ。


とても穏やかな時間……




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そんな穏やかな時間もつかの間……


「…最低っ!!」

……ばちんっ…!!


どこからともなく聞こえた声と乾いた音……。


レンと早紀はそんな声がする方を向いた。


少し遠くにだけど…
一組のカップルらしき姿


女の方が激怒していて声を荒げている。
男は何か頬をすりすりとおさえている。

おそらくは彼女にビンタでもくらったのだろう…

痛そうにしている姿から思いっきりやられたんだとわかった。


「もぅ翔太とは別れるわっ!!こんなに女グセが悪いと思わなかったわ!さよならっ!!」


「別に俺お前の事好きじゃねぇし。遊びだし。」


マジむかつくといいながら女は去って言った。



もちろんそんな光景を見てしまったあたしは呆然としていた。レンも…。


「レ、レン?さっさと帰ろうか…。」


「そうですね早紀。」


見てはいけないものを見てしまった感じのあたし達はさっさと帰ろうとした。

なんだか気まづい雰囲気でいつまでもここにいてはいけない気がした。