「…あたし…!!!!…あっ!!ううんっ!なっ何でもないの…!」

(って何言おうとしてるのよ~っ!)


疑問な顔のままのレンにあたし赤い顔を横にぶんぶんふって身振り手振りレンになんでもないと言った。

本当は恥ずかしくて穴があったらはいっちゃいたいくらいなのに。


そんなあたしの心境をしってかしらずかレンは変わらずあたしに優しく微笑む…。

ふっと微笑んで、

「さぁ早紀、帰りましょうか…?」

とレンは言って再び歩き出した。

あたしは「うん」と答えて歩き出す。


―本当はね、まったく覚えていなかったわけじゃないの。―

あの時の図書館からの帰り道も今もずっと木霊して響いてる声があるの……。




―どうかレンフォン様をよろしくお願いします―




その声だけが無性にあたしの心にいつまでも響いていた。


レンのまだ冷めぬ温もりとともに――。