「あんな寂しい思いさせてまで会社が大事なのかよ!!?

母さんとの時間を引き換えにするほど大切なものなのかよ!!?」




聖は叫んでいた。



何も答えない父親の姿に、こらえきれない怒りをぶつけていた。



そんな聖の迫力に押され、ますます私は口をはさめなくなっていた。




「会社会社会社………

あんたはいつだってそうだ!!!

家族のことなんてこれっぽっちも考えてない!!!」




聖のお父さんは苦虫を潰したような顔で、聖の罵倒を受け続けていた。



何も言い返さない。



それが今の自分がすべきことだと言い聞かせているようだった。




「莢だって、まだ中学生………

知ってるか?
寂しくて、たまに一人で泣いてるって…

母さんのいない家で………

………父親のいない家で!!!」



「聖っ!!!」




私はやっとの思いで口を開いた。



聖をなだめるようにして、聖の腕をぐっと掴んだ。