「そんなことか。

で、当然別れたんだろうな」



「んなわけないだろ?

あんたにとやかく言われる筋合いはない」




そこで、聖のお父さんはため息をついた。



そして、窓に手をやり、ゆっくりと顔をこちらに向けた。




「お前は少しは自分の立場を理解しろ。

ゆくゆくはこの会社を継ぐことになるんだぞ?」


「だからどうした。

皐月とは何の関係もない」



「会社をまとめる人間が、一人の女にずっとかまけてたら会社は成り立たない。

俺は身をもって知っている」




そう言う聖のお父さんの表情は暗かった。



その表情を見たからか、ほんの少しだけ、聖が顔を歪めた。