長かったエレベーターから降りると、まっすぐな道の先に、社長室、と書かれた部屋があった。



聖はずかずかと足を進め、私もそのあとを追うようにして足を動かした。



そして、社長室の前で立ち止まる。




「皐月………」



「な、何………?」



「一つだけお願いしていいか?」



「う、うん………」



「………俺を信じろ」




そう言って、聖はノックも無くドアを開けた。



そして、その先には大きなデスクに座る聖のお父さんの姿があった。



資料か報告書なのか、何かは分からないが、それに目を通しながら、心底不機嫌そうに言った。




「ったく………

ノックも無しか………
お前には一度、礼儀を教え込む必要があるな…」